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2018/9/1三日目記録【波止場のWS】

ワークショップ三日目の記録です。この日は、ウォーフから座高円寺まで移動してワークショップを行いました。座高円寺の劇場案内、ピノッキオ観劇、そして鵜澤光さんによる能のワークショップクラスでした。--------------------9月1日

ー本日のWSはウォーフから出て、座高円寺へ。そこでの施設案内、舞台観劇、稽古場でのWSクラスをします。
【座・高円寺劇場見学】
座・高円寺まで移動
10時若葉町ウォーフ出口に集合。日ノ出町まで歩き。
・12時頃、座高円寺到着。1時半まで休憩兼自由に歩き回る。
●信さんによる座高円寺の案内。
高円寺の稽古場・倉庫などをみて回る。
2Fまでいき、杉並区の歴史、阿波踊りスタジオなどを見て回る。
3Fで、資料室をみる。

【ピノッキオ観劇】
14時からイタリア人演出家の「ピノッキオ」をみる。
終演後は、ロビーに丸くなって、演出家の方とあいさつ。イタリア語通訳、日本語通訳、中国語通訳が仲介。四か国語の言葉が飛び交う。



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【鵜澤光さんWS】
16:15 座・高円寺 地下稽古場

・能について。「今日はみなさんの持っている能への誤解を解いていきたい。」能は、一度も途絶えたことのない芸術であり、現代までずっとその核は変わっていない。
そして、「女性は女性らしく、男性は男性らしく」ということを嫌う芸術の1つである。
各々には各々の身体があって、能は身体によって実はそれぞれ違う。
詳しいことは、これから実践を交えながら語っていく。

1. 立ち方。
つま先は絶対に広げない。つま先を触るように、上半身だけ曲げる。「手が床につかなくても大丈夫、身体が固いとかはこの業界は関係ない」
骨盤、腰骨を抑えて半身を起こす。お腹をひいて、おしりの穴は天井に向いてきゅっと上がっている。腰がくいっとかえっていて、この部分にとても力が入っている。上半身と下半身で平行の二つのまっすぐな板ができると良い。

2. 肩甲骨と肩甲骨をきゅっとよせる。
この時、肩が後ろに行ってしまうのはいけない。肩甲骨が緊張していたとしても、肩が戻らなくてはいけない。

3. 腕をねじりかえす
毎日、身体はかわっていき、かまえというものはかわる。「これが私の構えである」というものは、きっと一生つくれないものなのかもしれない
能にはとにかく決まり事が多い。立っているだけなのに、既にワークショップのメンバーたちの姿から個性が出ているのがとてもおもしろい。

4. 足使い
能はかまえの次は「はこび」という足使いがある。
「かまえ」と「はこび」のみで、既に表現がもうできる。
歩き方としては、足の裏の皮膚の所に力をいれるのではなく、もっと床を削るように足を出してやる。※この時に、集中している自分に酔わない事。
おとす。

5.扇をもってやってみる
「さしこみ」
・腕を水平に伸ばす
・絶対に前を向く
・目をぎょろぎょろとさせない
・遠くに目標を決める(うんと遠くの方がいい)
・そしてぐっと集中する。(ステップ数は決めておく)全ての空気を集めるように「さしこむ」
・そしたら、今度は後ろへ広がるように集中して、集中してひろがる。
・腕を歩きながら手を能の基本の形になるように集める。左手はそこから、あくまでも楕円からずれた延長にあるように、下へずれている)
次は左手の位置は腰までずれている。(あくまで楕円の延長にあるように、左手は気持ちの中で参加)


6.対象物に向く
対象に対してどう動くのかをやる。
「かける」と「ねじる」という足の使い方。→対象物に対して、はっきりと身体を向ける事。
例えば広い景色を見る時、空間の広さを出したい時、「ねじる」という足を使う。(そしてねじった後は大体「かける」)
自分の中でG(重力)を感じながら回るということが重要。

実際の能舞台では4本の柱が目印になる。
目的地まで美しい放物線を描く。これは、能のよい所のひとつ。「けんがみね」だけを送る。
●実践中に語って頂いたこと
能にはとにかく決まり事が多い。身体の自由はない。(もちろんアドリブなぞNG)何の言葉の時に右足を出す、左足を出す、などとても緻密。
しかし、心はとても自由である。
だから、何百年も前から、mm単位で伝えられるこの芸は個性豊かである。
型を持っているので、「何かを作り出す」という事はなく、ある程度表面的にやってしまえば、あとは組み合わせの問題であるので、すぐに踊れる。しかしこれは、能楽師にとっての罠でもある。そして、能楽師にとって、手を封じられてはじめて能を離れる。


能楽師はこれらの動きを、黒目しか開いていない面をつけて踊る。
なので、柱と自分の関係性ができるまで、思春期が過ぎないと面を被って踊ることはできない。
☆次回は面をつけてやってみます。
2018/9/1

2018/8/31 二日目の記録【波止場のWS】

ワークショップ二日目の記録です。この日は午前中に信さんによるWSクラスを行い、午後は昨日の課題からのグループ創作と、各グループの発表を行いました。-------------------------8月31日 
ー10時スタジオ集合。午前中のワーク開始(今日は樋口さんも加わってのWS)
【信さんWSクラス】
●ウォームアップ 本日のアップ担当:エミーさん

●呼吸
身体の中に水がある意識で足から立つ。鼻から息を吸っておなかまで入れたら、ゆっくりと吐いて身体の中身をからっぽにする。吐ききったら自分のペースで繰り返してゆく。
・目をつぶらないように
・気を楽にまっすぐ前を見て、自分にとっての気持ちいいをつくってゆく。
今度は息を吸いながら手を持ち上げて、吐くときは押しだすように前に出す。音が出てもいいから吐ききって、自分のペースで繰り返してみる。どんどんと方向を変えて、何かイメージが浮かんで来たら即興で構わないからそれを続ける。
「常に空間を共有していることを忘れないように」
「無理に動かない」


●「mirror」
二人一組で向かい合ってまねっこする、とても簡単だけれどストレートの基本になるエクササイズ。
・くじを引いて同じ絵柄の人とペアになる。
「(信の似顔絵)ランジェンフェとドリーン」「(魚)田村彩絵とウェンミン」「(花)ウェイウェイとエミー」「(太陽)ヤグニャとガオレイ」「(星と月)ダレンと丹澤美緒」「(猫)樋口とブレンドン」「(鳥)ヴィヴィアン と ダレン」「(ラスト)シュウロウとジェンファ」
・終わった後、紙を配って「気づいたこと」を三つだけあげる。
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ー昼休み後、午前中の創作ワークを引き継いで、チーム発表。
●午後の発表
「舟もなく」のテキストから、一つの章をチームで作ってみる。2:30から発表。

☆一番:李、ドリーン、ジェンファ、ウェイウェイ
第3章「生まれなかった子供たち」
オーディエンスは部屋中ばらばらになって、あおむけに寝転がる。
<他のチームからの感想>・「ゴミ袋をつかって音を出していたのがおもしろかった。」
・「とても完成されたストーリーだったが、どうやって発展させたのか気になった。」
・「おばあさんが遠くへ行くところにとても心が動かされた。」
・「舌をコツッと打つ音など、音の出し方がよかった。うまく使われていた。
・「原作と違う物語を語っていたけれど、どうしてあの発展になったのか気になった。」
・「観客としてパーフォーマンスをみているときに、人に、またがれたのははじめて。
・「中国語はわからないけれど、言葉のわかるわからないはあまり関係がなかった。
・「一番はじめの、ノンバーバルでセリフのなかったシーンが最も豊かに感じられた。逆に言葉がわかる方が縛りを感じてしまって、セリフのない所の方がより意味を感じた。」

☆二番目:エミー、田村、樋口、ガオレイ
第4章「水の記号」
オーディエンスは部屋中を歩き回る。そのときに、砂に跡を描くように歩く。
<他のチームからの感想>
・「最も、演じ手とオーディエンスの融合度が高かった。」
・「観客が演じ手に関わる度合いが濃かった。この作品いついて、好きか嫌いかがチームの中できれいにわかれた」

☆三番目:ヴィヴィアン、シュウロウ、ランジェンフェ、ウェンミン
第3章「生まれなかった子供たち」
オーディエンスはアイマスクをつけて目隠して床に転がる、自分の呼吸に意識を向ける。胎児のように丸くなって寝る。海の底の赤ちゃん。
<他のチームの感想>
・「目隠しをされてなにも見えなかったけれど、だからこそ聞こえてくる音や歩く気配が感じられてよかった。」
・「自分の呼吸に意識すると、感覚が研ぎ澄まされて、とても集中した時間を過ごすことができた」
・「インターナショナルなところについて、もっとはっきりとさせてよかったかもしれない。」


☆4番目:ヤグア、丹澤、ブレンドン、ダレン
第2章「舟に住む人」
オーディエンスは部屋中にちらばって、好きなところに座る(この時なにかによりかからない)。都会にある舟に住む人々。座ったら、目の前の自分のエリアを意識する(エリアは重なり合わない)。もし、何か、が自分のエリアの中に入ってきたら、それに対して強い関心を持つ。ある意味の異物感を感じる。
<他のチームの感想>
・「あのゴムが一体なんだったのかさいごまでわからなかったのがよかった。」
・「四か国の言葉を使って、子供のように遊んでいたが、あまり意味がわからなかった。原作からどう発展させたものなのか気になった。」
・「チームの話し合いで好きと嫌いがすっぱりと別れた。(だが、これはあくまで、それぞれの役者にはそれぞれ好きな手法嫌いな手法があるから、良いとか悪いとかではなく、それくらいの違いだと思ってほしい)」
・「すごくメリハリがあり、テンポもよかった。」
・「四つの言葉が交わされる所はすこしやりすぎな気がする。おなかがいっぱいかもしれない」
・「自分のエリアを守るとき、たとえ身体が侵入しなくても、声や音の侵略間をとても感じた」


●このワークについて。二つの目的
・一つ目短い間につくることによって、みんなの手法をシェアしあう。それは、ある人には古いかもしれないし、ある人には新しいかもしれない。今回は沢山の手法を観れたと思うが、こういう多国籍のセッションのときとても重要なのは、言葉を使うことに消極的にならないこと。
知らない言葉は音として楽しめる。
きっと普段、意味だけを追いかけてニュアンスとか音とか、そういうものへの関心が薄れていっている。
「ダンサーはもっとしゃべるべきだし、役者はもっと踊るべき」
そういうものに気づくきっかけが必要であるし、触れてみようと試みる機会を持つことが重要。
・二つ目。
オーディエンスをどう捉えるかということ。
パフォーマンスをつくっていると、オーディエンスを単純化して考えてしまう。
大人しく座っているだけど思われるオーディエンスの本当の姿を形にする。
理想のオーディエンスとは子供。オーディエンスが自由になれば、パフォーマンスはもっともっと進化できる。その為には、パフォーマンスをする側が、オーディエンスをもっと複雑なものとしてちゃんと考えなければならない。
目を閉じると、他の感覚が鋭くなるというけれど、目を閉じたところで聴力が急によくなるわけではない。これは、意識化しているか、していないかの違い。
音を出しているパフォーマーが音に集中すれば、必ずオーディエンスも音に集中するのだ。
☆【次回の課題】作品をつくるプロセスを知る、ということについて。
明日までに模造紙一枚に、この作品を作るにあたって、自分達はどういうプロセスで作っていったか簡単にまとめる。
(「どのチームも素晴らしかったし、もちろん私のチームも最も素晴らしい発表の1つでした」by Yagnya)2018/8/31

2018/8/30 初日の記録【波止場のWS】

ワークショップでの様子や内容についての記録です。この日は、はじめのオリエンテーションと信さんによるWSクラス。そして午後にはウォーフを出て黄金町へ向かいました。この地域についての歴史と、現在の黄金町アートバザールについてのお話を伺い、実際にみんなで町を歩き、アトリエを訪ねたりなどしました。--------------------------8月30日
11時2Fのスタジオ集合。

【オリエンテーション】
ー2Fのスタジオに集合。はじめ。全員で円になって座り、はじめの挨拶とこれからについてのオリエンテーション。

●はじまりの挨拶
シンガポール、中国、日本と、アジアから集まった今回のメンバーへ。
日本の戦争について。
「私たち日本人は、加害者をとしての日本を認めて謝罪すること。それは、加害者になるのがいかに恐ろしいか、ということを伝える為でもある。みなさん(WSメンバー)が私の謝罪を受け入れてWSにのぞむことを願います。」
我々は政治家ではなく、これはただの過去に対する謝罪の行為ではない。我々は全く違うディメンションの人間であるということ。
戦争は、ある意味、人類の最低な文化交流。
私たちがやらなければならないことは、「戦争以外の行為で、文化交流ができるということを導くこと」である。どんな貧しい文化でも必ず人は戻ってくる。
「ようやく種まきの時がおわって、これから作品つくりの時が来た。」今回のワークショップはその第一歩目となればいい。

●このWSの意味について
このWSを行う意味は、自分(佐藤信)のメソッドを教える為でもなく、自分のスキルアップのトレーニングでもない。
これは、国も文化も違う人達が集まって、どう過ごすか、どう作るかということを模索するきっかけである。
だから「トラブル」を大切にしたい。プロセスはトラブルの積み重ね。
全体のプロセスを通して、何か作品を作り、ラスト2日にショーケースでお客さんに見てもらう。個人のストレスを最小限にして、最終目的の作品へ行けるようにしたい

ーそのまま2Fスタジオ、最初のWSクラス開始。
【信さんWSクラス】
●ウォームアップ
・今度からウォームアップは誰か代表がやっていく。
・本日のアップ当番は信さん
●「スローダッシュ」
一列になって、スローモーションでダッシュをする。一番遅い人が勝ち。・WSで大切なのは、何ができるかではなく、何ができないか。そして詰めていくか。
・フォームを意識して、スローだけどあくまでダッシュの身体でいる。
バレエは鏡で自分が正しいか見極めることが大切になってくる。それとは少しちがって、ソフトな動きで自分を調整する。もう一つはムーブメントを創造してゆく。自分の能力を発揮することはもちろん重要だが、できないことを個性ととらえてどう詰めてゆくかのプロセスこそが大切。できないことを、どう追求してゆくか。
パフォーマーが身体を鍛えるには、アスリートのようなマッスルよりも「リリース」が大切になってくる。
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ーお昼休み後、ウォーフから黄金町へ向かう。【黄金町アートセンター】
黄金町バザール佐藤さんから、この黄金町という町についてのお話しを聞く。
黄金町は2005年以前は「チョンの間」で有名な売春の町であった。
戦争の時空襲でここら辺が焼け野原になり、鉄道の下に人が住み始めたのが売春宿のはじまりになった。戦争が終わったころは、川の向こう(ウォーフ側)は米軍の土地で、日本人は入れなかった。黒澤明の「天国と地獄」の地獄が、まさにこのあたりの事。
2002年になると、地震の補講工事の為、橋の下が立ち退きになる。しかし、売春宿はなくならず、川の両脇にずれて、むしろ広がってしまった。これによって店の数も爆発的に増えてしまい、ドラッグや暴力団問題が深刻になっていく。
2005年、なんとかしなければならないと立ち上がったグループが、政府や警察に訴え、このあたりは空き家だらけになった。そして、悪用を防ぐために、横浜市がこれを買い取り、寄付をすることにした。これが黄金町バザールの始まりになる。
・黄金町バザールの目的は主に3つあり
①アーティストを支援すること。②この地域の治安。③この地域の経済の復興。
ここにいるアーティストたちは、全体で50名ほど。そしてここを「卒業」したあとも、この辺りに残り、縁がつづくことも目的の1つである。
-アートセンターにてお話を伺った後、実際に町に出て歩いてみる。
【黄金町の探索】
黄金町バザールに向けて制作をしているアーティストのアトリエや、様々さ設備、またここら周辺のお店などをみてまわる。
猛暑のなか長い時間歩いた為、本日はここで解散。

☆【課題】
-明日の信さんのWSに向けて課題。・「舟もなく」を個人で読んで、自分のアイディアを考えてみる。
・10分以内のパフォーマンスを明日作る。
・午後、チームに分かれて発表をしてみる。この発表には、上演をしっかりとさせることよりも、何がしたいのかをはっきりとさせることが大切。上演というよりは提案、という場なのである。(最後に一言「課題にうまく取り組むコツは、帰ったらまず、一度すっかり課題について忘れることです」by信)2018/8/30